相続したいと思っていた土地の名義が・・・

妹さまと一緒に相談に来られたYさま。

 

お父様を亡くされて約1ヶ月。
ご自身で役所や金融機関などの手続きはなんとか終わらせたものの土地や建物の登記についてはどうすればよいのか分からず相談に来られました。

 

亡くなられたお父様は、先祖代々伝わる土地を継承されておられ、相談者のYさまはその土地の後継者ということになります。

 

土地の筆数は12筆あり、手続きを進めていくうえで登記簿謄本を確認しました。

 

すると、亡くなられたお父様の名義の土地は3筆でその他の土地は祖父・曽祖父・高祖父の名義のまま、相続登記がなされずに残っていることが判明しました。

 

この場合の土地の承継はどのようにしていけばよいのでしょうか。
土地の相続登記はどうなっていくのでしょうか。

 

曽祖父・高祖父名義の土地に関しては、高祖父から曽祖父へ、曽祖父から祖父へとそれぞれ家督相続が行われていたため、実際は、あらためて祖父名義の土地として相続人である亡くなられたお父様のご兄弟とご相談者のYさまご家族が遺産分割を行えば手続きを進めることができます。

 

しかしながら、土地の中の1筆に曽祖父の兄弟姉妹名義のものが存在していました。

 

この土地は、家督相続の対象とはならず、曽祖父を含めた兄弟姉妹への相続となります。

 

兄弟姉妹は他にもおられ、遺産分割協議を行う上で必要な相続人の数や住居等は全く不明の状態です。

 

推定20名以上の相続人が存在していました。

 

まったく見たことも聞いたこともない親戚と連絡をとり遺産分割行儀を行わなければならない・・・

 

そんな状況に相談者のYさまは不安になっていらっしゃいました。

 

「相続人に反対されたらどうしよう?」
「手続きにどれくらいの時間がかかるのだろう?」
漠然とした不安ばかりが先行します。

 

そんななか、詳しく土地や建物の使用状況をお聞きしていくと・・・とある1つの方向性が見えてきました。

 

弁護士に状況を相談したところ、今回のケースでは、問題になっている土地を「時効による取得」として名義を変更することが可能であることがわかりました。

 

ただ、実際に「時効による取得」の手続きを行うにあたっては

 

1)相続人を確定すること
2)裁判を行う必要があること
3)時効により取得した土地は相続ではないため
一時所得として課税されること

 

また、登録免許税も相続による登記に比べて高額になることといった注意事項があります。

 

現実的な手続きとしては、まずは遺産分割協議を行うための努力が必要になりますが、最終的には裁判を活用することによって問題の土地を取得することができます。

 

まずは、相続人の確定作業からスタートですが、相続者のYさまは、相続手続が完了する可能性が見つかったことに対してとても安心されておられました。

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