相続税とは、亡くなった方(被相続人)の財産にかされる税金ですが、
亡くなった方全員が申告しないといけないものではありません。
国税庁の発表によると、平成23年度に亡くなられた方の数は約120万人で、
そのうち相続税の課税対象になる被相続人の数は約5万人でした。
課税割合は4.2%で、亡くなった方100人中、
4人が申告の必要があるということになります。
(その後の法律改正によって、相続税の申告が必要な方の割合は大きく増加しています)
また、相続税の申告は、基本的に相続で財産をもらった人全員で共同して行います。
相続税では税法独特の考え方の財産というものがあり、具体的な例が生命保険金です。
生命保険金は一般的に、保険契約者により保険金の受取人が決められているので、遺産分割協議で分けるべき財産ではありません。
しかし、相続税の計算(課税)上では、財産とみなされます。
相続税の申告は税理士が専門ですので、細かい知識を相続人の方は必要ありませんが、大まかなことは知識としてもっておくといいと思います。
優遇措置について
相続税には、受けると得になる優遇措置というものがたくさんあります。
優遇措置なので、様々な条件が定められており、その条件に当てはまる場合に適用となります。中には、遺産分割協議ができていることが条件の場合もあります。
遺産分割協議に期限はありませんが、相続税の申告がある時には、申告期限までに協議が終わっていると得な場合もあります。
そして、基本的な部分ですが、相続税は現金での支払いが原則となります。
申告期限までに遺産分割協議が終わらなくて、亡くなられた方の預貯金などの解約ができない場合もあります。
その際には、税金を納めるための資金は自身の貯金などから調達する必要があります。
しかし、どうしても現金で納められない場合もあります。そんな時は、分割払い(延納)や土地などの物で支払う物納もあります。
物納について
以前は物納が認められる場合も多く、いらない土地や売れない土地を物納し相続税の支払いにあてることもありました。
しかし、物納の制度改革が行われてからは、物納するための条件が厳しくなったため、今では物納を行うことが非常に難しくなっています。
以前に相続の経験をされた方の中には物納すれば大丈夫と考えられている方もいらっしゃるでしょうが、お気をつけください。
相続税の税務調査について
相続税も、法人税や所得税と同じように、税務調査があります。
相続税は、税務調査が思っているよりも遅くやってきます。
相続税の申告が終わったからといって、証拠書類などを捨ててしまう方がいらっしゃいますが、税務調査の時に困ることになるので、大切に保管しておきましょう。
近年では、申告の必要があるにもかかわらず、申告をしていない(無申告の)方が多くなってきています。
無申告の方への税務調査も合わせて増えています。
また、税務調査で税務署が一番注目する点として、名義預金があります。
名義預金とは、亡くなった方が相続税がかかるといけないと思い、生きている間に自身の預金を配偶者の名義に変えたり、自身が管理している配偶者名義の通帳にお金を移していたりすることをいいます。
名義預金は贈与税や相続税に大きく影響しますので、注意しましょう。