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【相続事例】ゆうちょ銀行口座の現存照会の必要性

Aさんからご依頼のあった相続手続は、預貯金の解約についてでした。ご自身の体調が優れず、お一人での手続きにご不安を覚え、相談にお見えになりました。
 
被相続人はAさんのお兄様で、預貯金の通帳やカードもAさんがお持ちでした。他に預貯金はないとの事でしたので、ご申告のあった各金融機関の手続きを進めていきました。
 
全ての手続きを終え、最終報告の為にAさんのご自宅を訪問したところ、一枚のハガキを手渡されました。ハガキには、ゆうちょ銀行の「定期貯金満期のお知らせ」と印字されていました。
 
手続きを承った時に確認した相続財産の中には、ゆうちょ銀行の通帳もあり、通帳記帳による残高確認と定期預金の計算書を取得して資産把握したはずなのですが、ハガキの上に記載された記号番号は相続人のAさんさえも把握していないものでした。
 
故人が銀行に口座を所有しているが、口座番号等が不明の場合は、各行に事情を説明し、照会を行なっていただきます。
 
口座が確定していて手続を進める際でも、手続申告した口座以外で被相続人の所有財産に漏れがないかを、銀行側が積極的に調査して教えて頂くケースもあります。
 
ですが、ゆうちょ銀行の場合は、相続の手続申請者よりの現存照会の申込みがない限り、手続事務を行なう部署に調査する権限がなく、調査をしないそうなのです。
 
歯切れの悪い回答でしたが、個人情報の保護の観点、そして全国2万店におよぶ郵便局が窓口になるゆうちょ銀行で受け付ける口座情報を各郵便局の端末で検索するシステムが存在しない為、口座情報を検索するためには、拠点となる貯金事務センターで調査をする必要があり、その為に現存調査の申請書を提出していただいているとのことでした(貯金事務センター・相続課)
 
また、手続漏れを防ぐために、書類提出時に窓口の職員が「他に口座をお持ちでないか」と尋ねて、ある場合には現存照会をお願いしているのが、現状との回答もいただきました。
 
今回のケースでは何故手続漏れがおこったのか?
不明預貯金が無いとお聞きし、そのまま鵜呑みにしてしまい、お伺いした口座の内容の解約手続を進めました。窓口で書類の提出時、他の口座がないかどうかの問合せがあったかどうかは正直覚えていません。ただ、聞かれていたとしても、他には存在しないと思い込んでいたので、「ありません」と答えていると思います。
 
相談員として、「思い込み」「ゆうちょ銀行の現存照会の流れを知らなかった」等の知識の不足など反省すべき点は多々あります。
 
ただ、貯金事務センターからの回答を聞いて、いちばん恐怖を感じたのは、「今までに手続を終えている方々で自分たちの知らない故人の財産が、誰にも知らされることなく眠ったまま生活を続けているかもしれない」という事実です。   
 
故人のゆうちょ銀行の通帳を手にした相続人が、「他にも口座があるかも知れない」と考えるケースは、例えば、相続人が予想している相続財産と通帳記載の金額があまりにもかけ離れているとか、何かしらの事情がない限り、ありえないと思います。
なんの疑いもなく手続に臨んで、窓口で「他に口座はありませんか?」と聞かれたとしても「ないです」と答えるのが普通ではないでしょうか? 
 
今回のケースでは定額貯金の満期のお知らせ通知が、故人住所に同居していたご親族に届いたことで、もう一度手続をさせて頂く形となってはしまいましたが、なんとか全ての手続を終えることができました。
 
全国で休眠している口座がどれほどなのか、金額がどの程度なのか、そして、幸いにも口座の発見に至り、あらためて手続をするケースがどの程度あるのか知るすべはありません。 
 
せめて、センターにお越しいただくお客様には、無用のご心配をおかけする事のないように、相続手続をお手伝いする相談員として、より正確に、確実に手続を進めていけるように、知識の獲得につとめ、気を引き締めて手続に望んでいこうと思います。
 
【参考】
現存照会の方法 
参考:独立行政法人 郵便貯金・簡易生命保険管理機構より
相続人実印押印の委任状と印鑑証明が必要
窓口にて申請書記入して申込む 審査結果通知は3~4週間後、文書により通知 
費用は無料