「遺言書ってお金持ちだけが書くものですよね?うちはシンプルだから、必要ないですよね?」 このようにおっしゃる方がいらっしゃいます。 実は遺言書を書くべき人は、財産の額で決まるわけではありません。 今回は、遺言書を書くべき目的と、書くべき人について、解説していきます。 遺言書は、ご遺族の負担を減らすためにも書いておきましょう もしも遺言書がなければ、人がお亡くなりになった後、相続手続きはどのように進めるかご存知ですか? 実は、遺産分割協議という話し合いを行います。 具体的には、相続人全員の話し合いで故人の財産の分け方を決めて、書類に全員の実印を押してもらうというものです。 ポイントは、この「実印を押す」ところです。もしも一人でも「押さない」と反対すれば、預金の解約や不動産の名義変更はできません。 想像してみてください。もしも相続人同士が不仲であったり、そもそも一度も会ったことがない人達がいるとすると、遺産の分け方の話し合いは上手にまとまるでしょうか? ・・・残念ながら、うまくいかないご家族がいるのが実情です。 「夫が亡くなって、夫名義の預金の解約をしたいけど、他の相続人が実印を押してくれなくて何もできないの」と涙ながらにご相談に来られる方もいらっしゃいます。 それを解決するのが、遺言書です。遺言書は「誰に何を相続させるか」を事前に指定できるので、相続人同士の話し合いは不要となります。 遺言書は決して「富裕層の人だけが書くもの」ではありません。 財産がたくさんある場合でもそうでない場合でも、お亡くなりになられた後に行う手続きには、そう大差はありません。 遺言書は、『残されたご遺族の相続手続きでの負担を減らすために作るもの』という側面があることを覚えておいてください。 遺言書作成が必須な3パターン では、具体的にどんな方が遺言書を書いておいたほうが良いのでしょうか? ① 前妻や前夫の間に子どもがいる この場合、「相続人同士が一度も会ったことがない」ケースが多いです。当事者同士だけでは感情面などでうまく話し合いがまとまらない場合があります。 ② この人に相続させたい!という人がいる 様々なご事情があって、この人に相続させたい!という人がいるのであれば、遺言書を書いておきましょう。たとえば、相続人以外の人(内縁関係など)に財産を譲りたい場合、遺言書がなければ譲ることはできません。 ③ 相続人の中に認知症や判断能力のない方がいる 認知症や判断能力のない方が相続人の中にいれば、「分け方の協議ができない」と判断され、その方の後見人を選任しなければ手続きが前に進まなくなってしまいます。 後見人は、弁護士等が選任されることが多く、思わぬ時間や費用がかかり、相続人の負担は増大します。 以上の様なご家族構成の場合は、遺言書作成は必須となります。 もし作成しなければ、もしもの時に、多大な心労とお金を費やし、家族の不和を生むことになるでしょう。
遺言書は富裕層の方だけが書くものではありません
2023.03.23