Aさんは、夫が亡くなられてから相談に来られたときに、遺言書を持ってこられました。
内容は、「夫が先に死亡すれば、夫の遺産を妻に相続させ、妻が先に死亡すれば妻の遺産を夫に相続させる」と連名で書かれたものでした。
しかし、残念ながらこの遺言は使えませんでした。
夫婦が同一の遺言書で遺言する「共同遺言」は民法で禁止されているからです。
結果、手続きは、せっかく作った遺言ではなく、遺産分割協議書に他の相続人から実印を押してもらう通常の方法で行いました。
夫婦なら、一つの遺言書で済ますことができると思われがちですが、誤解されやすいので注意が必要です。
また、妻に全て相続させたいが、妻が自分より先に亡くなった時には、全て長男に相続させたいという場合は、夫(遺言者)の遺言書に「妻が先に又は同時に死亡した場合、妻に相続させるとした財産を長男に相続させる」という内容の遺言書を作成します。
妻にも財産がある場合は、妻も同様の遺言を書くことで、どちらが先に亡くなるかはわからないという心配をしなくてよくなります。
このように、夫婦それぞれが残すのは、「夫婦遺言」とも呼ばれています。
夫婦で一緒に書いた遺言
2015.07.07