曾祖父名義の土地がある?そのまま放っていた結果・・・
Aさんはお父様を亡くされて、実家の名義を自分に変更しようと考えました。
Aさんに兄弟はおらず、すでにお母様も亡くなっていたので、相続人はAさん1人です。
しかし1点気がかりだったのは、実家の建物は父名義ですが、土地はAさんの曾祖父名義だったことです。
「まあ、生まれてずっと過ごしてきた実家だし、固定資産税も払ってきたのだから、なんとかなるだろう」と、Aさんは気楽な気持ちで考えていました。
Aさんは専門家に相続手続きの相談に行き、まずはこの2件の相続の相続人を確定させるために、戸籍謄本の収集を依頼しました。
何か月か経った後、戸籍謄本の収集が完了したと連絡が入ったAさんは、再び専門家と面談しましたが、そこで衝撃の事実を聞かされます。
なんと曾祖父名義の土地の相続人は30人もいたのです。
どういう事かというと、相続が発生した後の遺産分割協議(その遺産を誰が取得するか)が決まらないうちに相続人の1人が亡くなると、最初の相続の権利が次に起こった相続の相続人にも移動し、鼠算式に相続人がどんどん増えていってしまうのです。
専門家はその事実を告げながら、さらにAさんを悩ませることを告げます。
「この土地をAさんの名義に変えるには、この30人全員の承諾と実印が必要です」
30人の相続人全員の印鑑が必要!?
これを聞いたAさんはびっくり仰天。
この30人の中には、名前すら聞いたことのない人も多数いらっしゃいます。
そして1人でも協力してくれない場合は、土地の名義変更はできないというのです。
「なんとかなりませんか?私が毎年固定資産税を払ってきたんですよ!」と主張するAさん。しかしどうすることもできません。
曾祖父の名義が残っていたことで、Aさんには1人1人に事情を説明して印鑑をもらうという、途方もない負担が発生することになってしまいました。
どうすればよかった?
不動産は亡くなった方名義のままであっても、固定資産税さえ払っておけば居住には特に影響は与えません。しかし、Aさんのように後々大変迷惑を被る方が出てきてしまいます。
また、2024年から「相続登記の義務化」がスタートし、亡くなった方名義のままにしていれば「相続人1人につき10万円の過料」という罰則も発生することになりました。
場合によっては時効で取得ができるケースもありますが、要件がかなり厳しく、長年住んでいたとしても認められるかは分かりません。
相続発生時には放置せず、その時に手続きを取る事が大切ですし、曾祖父や祖父など故人名義の不動産は急いで名義変更しておくようにしましょう。