どこまで調べられる?故人の財産の大調査!

Aさんには父方の叔父であるBさんがいました。Bさんは奥さんも子もおらず、独身のまま亡くなりました。

調べてみると、Bさんの相続人はAさん1人。つまり、AさんがBさんの全財産を相続できる事が分かります。
ただAさんが困ったのは、Bさんの財産内容が全く分からないことでした。

Bさん宅を家探ししても出てきたのは銀行の通帳1冊のみ。生前のBさんの羽振りの良さを知っていただけに、どうにも銀行1行だけとは思えません。

そこでAさんは専門家にアドバイスをもらいながら、Bさんの財産調査をスタートします。



Q1.「借金の調査はできるの?」
専門家「故人の借金の調査は、JICC、CIC、全国銀行協会の3つで調査することが可能です。
ただし、金融機関以外の借金、いわゆる個人間の貸し借りは調査結果としてあがってはこないので、注意が必要です」

早速この3つに開示請求をしたAさん。1か月ほど経てば全ての機関から開示結果が届きました。
結果として、Bさんには借金がないことが分かりました。


Q2.「銀行預金の調査はできるの?」
専門家「残念ながら、日本には一括で故人の預金の有無を調査する機関はありません。
ですので、心当たりがある銀行一つ一つに、残高証明書の発行依頼をする必要があります」

Bさんは長年同じ場所に住んでいたので、近くの銀行全てに残高証明書の依頼をかけることにします。
大変な時間と労力を要しましたが、結果として3つの銀行にBさんの預貯金があることが分かりました。


Q3.「生命保険に入っていたかは分かるの?」
専門家「生命保険協会で調査可能です。開示請求をすれば、保険契約のある保険会社をリストアップしてくれます。
ただし、実際の契約内容までは分からないため、契約があった場合は各保険会社に問い合わせる必要があります」

Aさんは早速生命保険協会に開示請求をしました。結果として、Bさんには保険契約はありませんでした。


Q4.「株をやっていたかは分かるの?」
専門家「証券保管振替機構に調査を依頼しましょう。生命保険協会のように、故人が口座開設をしている証券会社を一覧で出してくれます。
ただしこれも、実際に何の株を持っているかまでは分かりません。そのため証券会社に残高証明書の発行依頼をかける必要があります」

証券保管振替機構に開示請求をかけると、1つの証券会社にBさんの証券口座があることが分かりました。
その証券会社で残高証明書を取得すると、Bさんのお持ちの株がすべて判明しました。


故人の財産調査は大変です

AさんがBさんの財産内容を把握するのに、結果として半年近くかかってしまいました。
これほどまでに書類を書いたのは人生で初めてだと言うAさん。

「自分には何の財産があるのか」のメモがあれば、ここまでの負担を強いられることは無かったでしょう。


残された親族の苦労を軽減するために、財産内容が分かるようにしておくか、遺言書を書いておきましょう。
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