増える「遺贈寄付」の実態

「日本財団」には、2012年度には49件だった遺贈への問い合わせが、13年度は75件、14年度80件、15年度は150件と増えている。16年度には遺贈寄付専門の窓口「日本財団遺贈寄付サポートセンター」を設置。個別相談や遺言書作成のサポートに取り組むようになった。同年度の問い合わせ件数は1443件と激増した。

(中略)

タレントで歌手の故やしきたかじんさんは遺産を大阪市に寄付するとの遺言を残し、2億円の寄付をし、「紀州のドン・ファン」こと和歌山県の資産家、故野崎幸助さんの遺言状にも「全財産を田辺市に寄付する」と記されていたことが伝えられたが、いずれのケースも本人の没後、トラブルになっており、着実な準備が求められる。

遺贈寄付に詳しい樽本哲弁護士によると、遺贈の場合、遺言書作成は必須だ。自筆証書遺言よりも、公証役場で作成する公正証書遺言が望ましい。

そのうえで、それを実現させる「遺言執行者」を指定しておくこともポイントだ。「相続人が相続財産から寄付をする場合は、故人が亡くなってから10カ月以内に、寄付税制の対象となる団体に寄付をして申告をすれば、寄付した財産は一定の条件の下に相続税が非課税となる特例があります」

最後に、遺贈へのステップを聞いた。

遺贈寄付に関する著作があるライターの星野哲さんは、「恩返ししたいと思う人や団体といった対象はたくさん思いつくでしょう。お世話になった大学でも福祉でも。そういうところに寄付をすればいいのではないでしょうか。寄付に金額なんて関係ありません。1万円であろうが、10万円であろうが託す意味は変わりません。難しく考えず、社会への恩返しと考えればよいでしょう」と言う。

(中略)

人生の折り返し点を過ぎると、年齢を重ねるうちに「残りの人生の蓄えはいくら必要か」と多くの人が考えるだろう。その一方で、これまでの生き方を振り返ることも多くなる。実は記者は猛省している。自由奔放に生きてきた。このまま死んだら、何も自分は残せない気がする。若いころには戻りたいけど戻れない。だから、若い世代にお金を託したいと考えている。

※週刊朝日 2019年4月26日号より抜粋

じわじわ、囁かれるようになってきた寄付だが、結構そのハードルが高いように思う。

「どこかに寄付したいのだけど、どこに寄付したらいいかわからないの・・・」私の担当するお客様からこのようなお話を聞くことが増えるようになった。

確かに、どの団体がどう素晴らしいかまではわからない。
活動内容も詳しくは知らない。

全国規模で・・・。
とお考えの方も多いかもしれないが、
身近な場所、近所の方のために・・・。

やしきたかじんさん、紀州のドンファンさんが「市に遺贈」と遺言書を書いていても、そのとおりにはならない時代なんだな〜と、記事を読みながら感じた。

途中、ライターの星野哲さんのコメントで、「1万円であろうが、10万円であろうが託す意味は変わりません。難しく考えず、社会への恩返しと考えればよいでしょう」とある。

まさに、そうだな〜と。

現在、「お寺とともに終活を」を掲げ、社会問題に挑戦している一般社団法人つむぐであるが、先日の勉強会で、「100年掛かるかもしれないけど、やっていこう」とあるご住職の応援をいただいた。

すべては、次世代へ「つむぐ」
そのための活動を我々世代が支えていなかければならないと感じる記事であった。(長井)

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