【相続コラム】親と未成年の子が相続人の場合の、遺産分割の注意点!

相続が発生したとき、相続人間で遺産分割協議という「故人の遺産を誰が取得するか」を決める話し合いが必要です。

もしも、相続人の中に未成年の子供がいる場合、遺産分割協議はどうなるのでしょうか?

次の事例を読んで、○か×かお考え下さい。

『妻Bと10歳の子Cをのこして、夫のAさんが亡くなりました。まだ小学生のCには、相続のことなど分かるはずがありません。親と未成年の子が相続人となった場合は、今後の教育費や生活費を夫の財産から負担していくことは明白であるし、親は子の代理人でもあるので、遺産分割協議をしなくとも、すべてを親であるBが相続してもよいと法律で決められています』






答えは、

×になります。

文章で読むと母が全て相続するのが当然のように思えますが、そうではありません。

確かに、民法では未成年の子が法律行為をする場合は、法定代理人(親権者)の同意が必要になります。
たとえば、未成年者がスマホを購入する時などは、必ず親の同意が必要ですよね。

そして今回の遺産分割協議、これももちろん法律行為です。
となると当然に、親が子供を代理して分割内容を決められる・・ように思えますが、今回は例外なのです。

なぜなら、親が子の代理人として全てを決められるというのは、自分の利益を最優先にした遺産分割が可能になるということ。
自分の利益のためだけに、全ての財産を取得する親がいないとも言い切れませんよね。
とはいっても、まだ判断能力のない未成年の子供と遺産分割の話をするのも、現実的ではありません。

ではこの場合どうすればいいのでしょうか?

正解は、「親は子の『特別代理人』と遺産分割協議をする」となります。

特別代理人とは、家庭裁判所に申立てをすることで選任される、遺産分割協議のためだけの特別な代理人のことです。

親は子と協議するのではなく、子の特別代理人と協議することによって子の利益を守っていこう、というのが特別代理人の趣旨となります。


特別代理人は誰が選任されるの?

特別代理人は、相続人以外の親族でもなることがあります。たとえば、子の叔母さんや叔父さんなどが選任されたりといった具合です。ただし、最終的には家庭裁判所の判断で、誰が選任されるかが決められます。

子が複数いる場合はどうなるの?
上記の例では子は1人でしたが、当然複数の未成年の子が相続人になる場合もあります。その場合は、未成年の子1人1人に特別代理人を選任しなければいけません。
特別代理人1人で、複数の子供の代理人になる、なんてことはできません。


それでは、今回のまとめです。

・相続人に未成年の子がいる場合は、親は家庭裁判所に特別代理人選任の申立てをする
・特別代理人は、遺産分割での子の利益を守るための特別な代理人
・親は特別代理人と遺産分割協議をする

お困りの方は、ぜひ参考にしてみてください!

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