Sさんから、母 花子さん(仮名)が亡くなったので、母が所有している不動産の相続手続をしたいとのご依頼がありました。
しかし、該当する物件の登記簿謄本を確認すると、所有者が「花」と記載されていました。
Sさんのお話によると、「確かに母が所有している不動産で間違いないはず」とのことですが、不動産の所有者は登記簿記載の住所・名前の一致で同一人物であると確認されますので、「花子」さんと「花」さんとは別人と認識されてしまいます。
この場合、名前の変更をしたことを戸籍で証明すれば問題なく手続きができます。名前の変更をした場合は、通常「花」から「花子」になった旨が戸籍に記載されるからです。
しかし、花子さんのご出身地は、戦時中、激戦地になったところであり戦前の戸籍が消失してしまっていました。
従って、取得できる現存の戸籍には、既に「花子」の名前で記載がされていました。
花子さんの名前が「花」から「花子」へ変更になったことを証明する方法は他にないのでしょうか?
名前が変更になったことを確認できる方法のキーワードは「役所での証明願」でした。
役所に証明願を作成し提出すると、調査してもらうことができます。
調査をした結果、請求者側の話の内容が適正だと判断されれば
証明願に証明印が押されたものを返却してもらえます。
不動産の名義変更を申請する法務局でも、上記証明書を添付すれば手続きをしてもらうことができます。
このように、相続手続では、一般的に発行してもらえる証明書とは別に請求者側にて作成しなければならない書類もあります。
その場合、適正に手続きが出来るように書類の文言を考えなければいけません。
もしそのような書類が必要となった場合は、専門家に相談する事をお勧めします。