「今回の父の相続では、母に全て遺産を相続してもらって、私は相続放棄をしようと思っています」 当センターで無料相談をしていると、上のようなことをおっしゃるお客様もいらっしゃいます。 相続放棄という言葉は有名なので、皆様も一度は聞いたことがあるかと思います。 実は相続における放棄は2種類あります。 それが『相続放棄』と『財産放棄』です。 この2つは、『財産を取得しない』という点は同じでも、それ以外は大きく内容が違うものです。 ポイントを理解しておかないと不利益を被ることもあるので、今回はこの2つを解説していきます。 『相続放棄』は家庭裁判所で手続きが必要! 相続放棄とは、家庭裁判所で申立てをする必要があります。 必要な戸籍などの書類を集めて、申請書に記入して・・・と、面倒な手続きと言えるでしょう。 無事に家庭裁判所で相続放棄が受理されれば、申請者は『最初から相続人ではない』扱いとなります。 『相続人ではない』というのは、相続に関してだけは『赤の他人』のようなものです。 もしも亡くなった方に借金があった場合、通常相続人には支払う義務があります。 しかし相続放棄していれば相続人ではなくなるので、肩代わりする必要は全くなくなります。 相続放棄とは、それだけパワーのあるものなのです。 『財産放棄』は0円相続のこと! 財産放棄は、相続人間で「自分は今回の相続で1円も受け取らない!」と遺産分割協議で取り決めることです。 そのため、『0円相続』とも呼ばれます。 相続放棄と比べて、他の相続人との協議で「いらないよ」と言えばいいだけなので、非常に簡単です。 注意点としては、相続放棄と違って財産放棄は相続人でなくなるわけではありません。 なので、亡くなった方に負債があれば、債権者から請求がくる可能性は十分に考えられます。 あくまで財産放棄は相続人間で主張できるものであり、第三者には主張できないのです。 「私は父の財産を財産放棄したから、すべて取得した兄に請求してください」と債権者に伝えても、債務を免れることにはならないでしょう。 相続放棄か財産放棄か、どちらを選ぶべき? もしもあなたが相続で『財産はいらない』と考えている場合、相続放棄か財産放棄かどちらを選ぶべきでしょうか? ポイントはやはり『債務があるかないか』になるでしょう。 ・亡くなった方に借金が多いのであれば、相続放棄をすればよい ・借金などが特にないのであれば、財産放棄で構わない その他にも、この相続には関わりたくない・・そんな理由がある場合は、相続放棄をした方が確実です。 ただ、相続放棄には相続の開始を知った日から3か月以内にしなければいけないというルールがあります。 この期間が過ぎれば、基本的には相続放棄はできなくなります。 もしもご自身が放棄を検討しているなら、上記を気にかけて、どちらにするか検討してみてください!
相続放棄と財産放棄は違います!
2022.11.10