「身寄りのない方」の遺産はどうなるの?

「私には身寄りがありません。私が亡くなったら、私の財産はどうなるのでしょうか?」

最近は、いわゆる「おひとりさま」と呼ばれる方が増加傾向にあるのか、このような相談を受けることが多くなってきました。
やはり自分が亡くなった後の財産の行方は気になるところですよね。

今回はそんな、「身寄りのない方」の相続について解説していきます。


身寄りのない方の遺産は「国庫へ帰属」されます

結論から言うと、身寄りのない方の遺産は国庫に帰属されます。
最終的には国のものになるのです。

ちなみにここで言う「身寄りがない」とは、戸籍上「子がいない」「配偶者がいない」「両親がいない・祖父母もいない」「兄弟姉妹もいない」という方です。

ただ単に家族と疎遠であるというのは、それに該当しないので注意が必要です。

身寄りのない方の財産は、家庭裁判所によって選任された「相続財産管理人」の手によって国庫へ帰属させられます。

相続財産管理人は、亡くなった方の遺産を調査し、債務などを清算し、遺産を管理しながら処分します。

全ての財産を換金したら、それを国庫へ帰属させるのです。


国庫に帰属させないためにできることは?

「自分が今まで頑張って貯めてきた財産が、国のものになるなんて納得いかない!」

そんな方は、遺言書を書いておくのをお勧めします。

遺言書があれば、その方に遺産を相続させることができるので、国庫に帰属するようなことはありません。

また遺言書は、法人やNPO団体といった「人以外にも」寄付することができます。
自分がお世話になった人や団体に、遺言書を使えば財産を残すことができるのです。

他には、養子縁組をしておくことも対策の一つです。
縁組して相続人が一人でもいれば、その方一人に全ての財産が相続されるので、遺産が国庫に帰属されることもありません。

また、生前のうちに財産を贈与していくことも対策になるでしょう。
ただし、一気に多額の財産を贈与すると贈与税の対象となり、受け取った側が税金を払わなければならないので注意が必要です。


遺言書で対策しておくのが最も現実的

3つ対策をお伝えしましたが、やはり一番現実的で効果的なのは、遺言書を作っておくことでしょう。

養子縁組はなかなかハードルが高いと思いますし、生前贈与も全ての財産を贈与することはできないものです。

遺言書であれば、書こうと思えば一人で書けますし、亡くなった時点にある全財産の行方をあらかじめ指定できるので安心です。

自分がおひとりさまで、財産を国のものにしたくない!という方は、遺言書を必ず書いておきましょう。
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