「アパートを建てれば相続税が抑えられます!」は本当?

Aさんは、とあるハウスメーカーの『将来発生する相続税の無料算定サービス』を利用しました。

算定すると、Aさんの相続時には多額の相続税がかかることが分かります。
不安になっているAさんに、ハウスメーカーの方が営業をかけます。

「このままだとお子さんたちが相続税を払えず、
税務署から資産を差し押さえられる可能性もあります。
ただ、良い節税方法があります。
それはアパートを建てることです。うちで良ければご協力しますよ!」

確かに、現金をアパートに変えると評価額の圧縮が可能なので、
相続税の軽減になることは確かです。
Aさんも、税金が減るのなら‥と乗り気になっています。

その算定、特例は考慮されていますか? 
ちょっと待ってください。
実は相続税には、様々な控除の特例がありますその無料算定サービスは、そういった控除の特例が反映されているのでしょうか?

まず1つは、『小規模宅地の特例』です。
簡単に言うと、『故人が自宅として使っていた土地は、
配偶者もしくは同居していた親族が相続すると80%の評価減が出来る』というものです。

「100坪まで」という制限がありますが、仮に3,000万円の土地ならば600万円まで評価額を圧縮できる強力な特例です。

また、『配偶者の税額軽減』というものもあります。
これも簡単に言うと、「配偶者の相続の場合、最低でも1億6,000万円まで無税になる」というものです。
つまり、仮に1億円を配偶者が相続したとしても、配偶者の支払う相続税は0円になるのです。

無料算定サービスの場合、こういった特例は考慮されていない計算結果であるケースがあるようです。

もしも上記の特例をうまく活用できる場合、無理にアパートを建てる必要は無いでしょう。

Aさんの場合、別の税理士に依頼して小規模宅地の特例を計算に入れてもらったところ、相続税は100万円にも満たないことが分かりました。

タダより高いものはない!?
もちろん、特例だけで相続の内容を決めてしまわない方が良いこともあります。

配偶者の税額軽減があるからと言って、全て配偶者が相続してしまうと次にその方が亡くなった時(いわゆる2次相続時)に相続税の負担が大きく増えてしまうこともあるからです。

夫婦でそれなりに財産をお持ちの場合、
2次相続のことも考えて、子どもに多く相続させた方が良いこともあるのです。

相続税の計算は、無料で行えるほど簡単なものでは無いと思います。
(もちろん、無料であっても税理士にキチンとした仕事をお願いしている会社もあるとは思います)

小規模宅地の特例を使えるのかの判断、2次相続のことを考えると
子どもにいくら相続してもらった方が良いのかの試算、財産の正しい評価、ご家族の現状の診断・・

これらを正しく慎重に判断することで、将来の実態に近い相続税を試算することが出来るのです。


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