遺言書と違う内容で相続はできる?

遺言書と違う内容で相続はできる?
「父の遺言どおりに相続するのが、本当に正しいのだろうか──」
Aさんが初めて遺言書を開いたとき、胸がざわつきました。
そこにはこう書かれていたのです。

「自宅は長男であるAへ。預金はすべて次男Bに渡す。」

しかし、父が亡くなる直前の入院費で預金はほとんど残っておらず、
Bが受け取れる金額はわずか10万円ほど。一方Aは自宅を丸ごと相続することになります。
Bはため息をつきました。

「兄さんは家をもらって、俺はこれだけか……」

亡き父の意思とはいえ、二人の間に微妙な空気が漂いました。
Aもまた複雑でした。

父と暮らした家を守りたい気持ちはある。しかし、弟の気持ちを思うと、
このまま遺言どおり進めてよいのか迷いが生まれます。

悩んだAは専門家に相談しました。そこで意外な言葉を耳にします。

「相続人全員が合意すれば、遺言と違う分け方もできますよ。」

AとBは顔を見合わせました。

遺言は「絶対」で、書かれている通りに従うしかないと思っていたのです。
専門家は続けて説明しました。

遺言は被相続人の最後の意思を示す大切な書類です。

しかし、相続人全員が納得して署名・押印すれば、”遺産分割協議”によって内容を変更できるという制度があるのです。

その後、兄弟はじっくり話し合い、Bが納得できる別の方法を模索しました。

最終的に、Aは自宅を相続する代わりに、父が残した保険金の一部をBに渡すことで合意。
Bも「父さんの家は兄さんが守るほうがいい」と笑顔で頷きました。

こうして二人は、遺言とは違う形で、しかし互いに満足できる相続を実現したのです。
 

◆ 遺言と違う相続ができる条件とは?

遺言書があっても、次の条件を満たせば内容を変えることができます。

1.相続人全員が合意すること
一人でも反対すると変更はできません。

2.遺言執行者の権限が邪魔しないこと
遺言執行者が指定されている場合、その人の業務を妨げる変更はできません。


◆遺言は大切。でも「家族の話し合い」も同じくらい大切

遺言は故人の思いを尊重するものですが、残された家族が幸せな形で遺産を引き継ぐことも大切な要素です。

AさんとBさんのように、話し合いによってより現実的で納得のいく形を選ぶことも、相続の一つの在り方です。

相続手続支援センター関西では、遺言の内容を踏まえた相続方法や、家族間のベストな相続方法についての無料相談を受け付けています。
遺言書に戸惑ったら、どうぞお気軽にご相談ください。



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